深く沈める。

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「木島日記」(漫画・ノベライズ・完結編) まとめ(2016.7.24最終更新)

パスティーシュを書くにあたりまとめたものです。

※関連シリーズが散見されるので本記事では以下のとおりとします。

ノベライズ

「木島日記」新書版…ノベライズ

「木島日記」文庫版…ノベライズ文庫版

「木島日記 乞丐相」新書版…「乞丐相」

「木島日記 乞丐相」文庫版…「乞丐相 文庫版」

漫画版

「木島日記」漫画版…漫画版

小説

「もどき開口 木島日記 完結編」…「完結編」

関連キャラクターが登場するもの

「とでんか」…「とでんか」

多重人格探偵サイコ」…「サイコ」

 

一、木島平八郎について

口調:

漫画版では比較的綺麗で簡潔な言葉を話すが、ノベライズ及び小説版では横柄な態度が目立つ。特に、一人称は「僕」で統一されている漫画に対し、ノベライズ及び小説版は親しき人物には「俺」、瀬条教授等目上の人物には「私」という使い分けが見られるが、大塚英志特有の表記ゆれと思われる。これについては、「サイコ」において、小説版と漫画版で西園伸二と雨宮一彦の呼び方が異なることにも認められる。

仮面:

漫画版においては、「砂けぶり」までは、口の部分が開閉されるものを使用していたが、それ以降は幅の若干狭いものを使用している。「砂けぶり」まで使用されていたものは、口の部分を開閉することによって飲食が可能であり、これは「若水の話」において千疋屋でジュースらしきものをストローで啜っている場面で確認が可能である。ノベライズ及び小説版においては、表紙絵からも確認できるとおり完全に顔を覆うものが使われているため、ノベライズ版「若水の話」では、美蘭が「その仮面でどうやってみつまめを食べるのか」という旨訊いているため、飲食は仮面を外さないと不可能である。

人物像:

漫画版では比較的紳士に描かれるが、ノベライズ及び小説版ではかなり大雑把であり気性が荒く描かれる。前者については、「天地に宣る」において、ハウスホッファーを逃がしたことを一ツ橋に告げる場面において確認できる。ノベライズ及び小説版においては、美蘭を抱えていく描写等を散見することが可能である。

藤井春洋との関係性:

完結編において、春洋と同一人物であり、現世とあの世が近づいていく兆候として分裂したとされている。最終的には木島は3人に分かれ、月を殺した木島は首を撥ねて死ぬ。そして藤井春洋であった木島は戦死し、清水義秋であった木島は生き延びるが、ここで「とでんか」との祖語が生じる。「とでんか」の課長代理の木島は結局誰なのか。清水は「サイコ」においてアーヴィングを殺害するために死亡し、春洋は戦死したことを考えると、月を殺した木島が甦りの禁術で蘇生したと考えるのが妥当であると思われる。

若しくは、木島「平八郎」ではなく、その後の木島である可能性もある。


二、八坂堂について

所在地について:「北神伝綺」では神田神保町にあることになっているが、ノベライズでは本郷付近に店があることになっている。漫画では言及されていない。

間取りについて:二階に客間(階段を貫通したところ)と居間があること、一階部分が店舗であることは漫画で確認が可能であるが、完全に推定できない。

 

三、根津について

ノベライズでは妹が「食人」をし、根津は「殺人」「近親相姦」を犯したとされているが、漫画では妹の存在が省略され「殺人」「食人」「近親相姦」全てを犯したとされている。また、ノベライズでは吃音が顕著ですが、「もどき開口」及び漫画では吃音が見られない。

尚、素行、記憶の喪失状況等は漫画とノベライズで差がある。尚、ノベライズと「完結編」でも差異が見られるため、漫画版・ノベライズ・完結編と違う人物と捉えた方が理解は容易である。

 

四、土玉について

ノベライズでは独身であり、瀬条機関の直営病院に住み着いていることになっているが、漫画で出てきた緋奈子は妻とみられる。どうなっているのか不明。

また、「とでんか」に出てくる土玉は「もどきの開口」そのものであったが、何を目的にもどきの開口となったのかは不明瞭である。

 

五、瀬条機関について

所在地について、機関本部は本郷付近に所在、月と木島がいた施設は郊外にあると仮定するのが容易である。ノベライズでは施設はいくつかあるようにも書かれており、根津が「砂けぶり」で捕獲された時期が、木島が月に対する実験をしていた時期と重なるにも関わらず、砧の施設に連れていかれた描写がないことから、根津と月は違う施設に連れて行かれたものと想定できる。

 

六、実在の人物(wikipedia等へのリンク集)

折口信夫

折口春洋

人間避雷針:持衰のお兄ちゃん

若水の話』安江大佐

『天地に宣る』ハウスホッファー

 

七、その他

ノベライズによると、瀬条教授は帝都大学に駐在、木島と月がいた研究所は表向きは瘋癲病院として砧にあることになっている。

しかしながら「人間避雷針」の回において、折口信夫邸が品川区にあったことを考えると、春洋が砧までの二十キロ程度の道のりを歩いた、もしくは品川区付近で事故にあったにも関わらず砧の瘋癲病院に搬送されるのは不自然と考えられるため、「人間避雷針」の回で春洋が搬送された病院は帝大附属病院であると考えるのが妥当である。